美容師が提供したサービスに対してお客様が不満を持つとクレームとなってしまうということをこの記事→お客様が美容師に抱く不満を知ってなるべくクレーム0を目指そう! でお話しました。
そのクレームたちは、あくまでお客様への説明不足であったり、技術が及ばなかったりといった、明らかに美容師側に非があるものでした。
ところが、クレームの中には美容師側が悪くなくても巻き込まれてしまう【悪質なクレーム】としか思えないようなものもあります。
そこで、今回は僕が見てきた【悪質なクレーム】と【怖いクレーム】を1つずつご紹介します。
あなたが今からご紹介するようなクレームに出会う確率は低いでしょう。それでもこんなクレーム例もあるんだと知り、気を引き締めて仕事に臨めば【悪質なクレーム】や【怖いクレーム】を回避できるはず。
それではまず1つ目のケースから。
ケース1 最初からお金を払う気のない悪質なクレーマー
僕がスタイリストデビューをしたころの話です。
その店の店長はスタッフからも尊敬され多くのお客様から支持されるスーパーな美容師でした。(僕の憧れの美容師でもありました)
そんな店長の元に来るお客様は皆、店長のカット技術とセンスに全幅の信頼を寄せていて、店長にカットしてもらえること自体に価値を感じていました。
なので、店長のお客様のほとんどはヘアスタイルのオーダーを【おまかせ】もしくは【ざっくりとした長さやイメージを伝えるだけ】だったのです。
今思えば、このことがこの後に起こる出来事につながったのだと思うのですが・・
ある日、そんな店長の元に店長指名の新規のお客様(以下Aさん)が来店しました。
そのAさんは肩ぐらいの長さのボブだったのですが、店長に『ショートにしてイメージを変えたいです。あとはお任せします』とオーダー。
店長はいつものように華麗なハサミさばきと速くて正確なカットテクでAさんをボブからショートヘアに変身させました。
それは、Aさんの骨格を補正しつつシルエットのバランスも文句なしの見事な仕上がり。僕の目からも、周りのスタッフたちからの目から見てもそう思いました。
しかし・・それは突然起こりました。
『こんなに切られるとは思ってなかった!気に入らないわ!どうしてくれるの?』
と、Aさんが店長に怒り始めたのです。
店長は冷静に説明をし、Aさんの怒りを鎮めようとしましたが、思うようにはいかず、、結局、すったもんだの末にカット料金をいただかないことでAさんは納得して店を出ました・・。
いつも自信に溢れていた店長は明らかに落ち込んでいて・・控え室でうなだれる店長を見て僕もショックでした。
後に分かったことなのですが、店長に怒り出したAさんはその界隈ではそこそこ有名なクレーマーだったらしく、、
口頭でざっくりとしたイメージを伝え、あとは担当の美容師のセンスと腕にまかせておいて、どんなに良い仕上がりであっても文句をつけてお金を払わずその場を去る。そんな手口を繰り返していたそうです。
お客様の感じ方次第で何とでも言われてしまう、まさに美容師の泣き所をピンポイントで突いてくる悪質なクレームだと言えるでしょう。
この教訓から学べることは、お客様との仕上がりイメージの共有を口頭だけでやざっくりとではなく、写真や絵と言ったビジュアルで明確に行うほうがクレームを防ぎやすいということ。
とはいえ、こんなに悪質なクレーマーは滅多にいないですけどね。こんな人がたくさんいたら『美容師なんてやってらんねぇ!』って人が増えて困りますし・・
ただ、事実としてこんなクレーマーもいるのだと知っておくことは無駄ではないはずですので、頭の片隅に置いておいてくださいね。
ケース2 カラーをして頭皮が荒れたという怖いクレーム
僕の同僚が担当した新規のお客様Bさんはカラーをオーダーしました。
Bさんは『 今までカラーをしても頭皮がかぶれたりしたことはなく大丈夫です 』とのことで、普通にカラーをしてその時は何も問題がなかったそうです。
その次の日、Bさんからお店に電話があり、その内容は『頭皮が痛くなって医者に行った!パッチテストせずにカラーしたせいだわ、どうしてくれるの?』というクレーム。
Bさんを担当した同僚はとにかく謝り続け、菓子を持って家まで出向き謝罪と病院での治療費を渡すことになりました。
Bさんの頭皮を見せてもらうと、少し赤くはなっていたものの、そこまでひどいものには見えなかったらしく・・。
でも、Bさんには診断書もあり、パッチテストをしていない同僚は落ち度を認めるしかなかったそうです。
僕の同僚が遭遇したのは、↑このようなカラーの薬剤で頭皮が荒れたというクレーム。
本来カラーは、パッチテストと呼ばれる皮膚アレルギー試験をして異常がないことを確認してからしなければならないもの。
でも、パッチテストは腕などに薬剤を塗布して48時間放置しなければならず、そんなことをしていては非効率的で、美容師側もお客様側も困ります。
なので、多くの美容室では口頭での聞き取りや、アンケートに答えてもらうことで、カラーをしても大丈夫との判断をすることがほとんど。
僕の同僚からすれば、お客様に確認と許可は取ったよねとも言いたくなる。その気持ちは痛いほど分かります。
同僚はこの出来事があってからしばらくはかなり落ち込んでいて、カラーをするのが怖いと言ってました。
このクレーム内容は悪質と決めつけることはできないかもしれない、でもとても怖いクレームだと言えます。なぜなら、定められているテストをしていないことを指摘されると美容師側は反論できないからですね。
このクレームを防ぐ方法は2つ
1.定められている通りにパッチテストをきちんと行うこと
2.頭皮にカラー剤をつかないようにすること
単純なことですが、これができておけばこのケースのようなクレームを防ぐことができます!
これを覚えておいてください。
この記事で紹介した2つの事例は、滅多に起こるクレームではないでしょう。でも、美容師をしていれば誰にでも起こり得るクレームです。
だからこそ、日頃からクレームになりそうな可能性を極力減らすように心がけてくださいね。
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